雨の中ねこが行く

ずぶ濡れの体毛は、それでも輝く。

拙作「大切な貴方へ。」についての解説と考察

お久しぶりです、個人サークル「庭飼いロシアン」のみずいろこねこです。三記事目です。ぱぱっといきましょう。 この記事はなつやすみプロデュースノートという企画に参加して書かせていただいております。三記事目にしてやっとこの挨拶書くのかよって思うかもしれませんが!

前日の記事は13歳さんの andrew.hatenablog.com こちらの記事です。ラジオは中学くらいのころによく聞いていましたが最近はめっきりですね……。無線知識もあまりないので、ラジオっていろんなことができるんだなって思いました(こなみ)。

さて、やっていきましょう。

拙作、「大切な貴方へ。」は3/13に行われたシンデレラステージにて、鴨さんのサークル、じゃっぱにて頒布されたものです。A5二枚程度のお手紙風同人誌です。若干の在庫はありますのでよろしかったら是非。 んで、今回それの解説と考察をしていこうと思います。尚全文公開はされませんので、読みたい方は申し付けてもらえれば300+送料で頒布するのでよろしくおねがいします。ねこはいます。

まず、この頒布物に使われているフォントは、花鳥風月というフリーフォントです。やさしい手書きの書き味が橘が書きそうな、整然としつつも可愛気のある字体だったので利用させていただきました。

さて、書き出しの文章から見ていきましょう。

こうしてお手紙を書くのは、これで何度目になるのでしょうか。なにかあると私は、こうやってすぐ紙に綴って、貴方に頼るように(以下略

この文章、まずこの世界観から説明していくのですが、この世界線の橘は……というよりこの本文は、ご存知橘の楽曲である「in fact」を聞きながら書いたものです。そのうえで橘は何度もメールや電話ではなく、手紙という形で想いを伝えることを選んだ……という設定ですね。しかもすでに何通も送っている書き方。そのうち過去編出します。

ちなみに手紙で想いを伝える、の原案なんですが、みんなだいすきsasakure.UKさんの、鏡音リンを使って作られた「しゅうまつがやってくる!」からきています。流石に緊迫度とかの違いは無視してください。とってもいい曲なので聞いてね。

続けていきましょう。

率直に言ってしまうと、私は貴方のことが好きです。いえ、恋愛感情とかではなく。単純に、心を許しても(略

ここの照れ隠し的な言い方好き(書いた人です)。橘は頭の回転が早いとかなんだかんだ言われていますがあくまでも子供なので、文章をなるべく子供っぽくしていく方向性で書いています。これに関しては来月苺と薔薇の解説と考察でしっかり書いていくので割愛させて頂きます。

こういう言い回しをしていますが、今回の「貴方」に関しては強い感情を持っています。これは大きなネタバレなので書きません。察しが付くでしょ?

以前レッスンの際に、私の演技が子供っぽくない、と言われたことを覚えているでしょうか。

ここは橘のぷちエピソードを開けていれば必ず入ってくる公式情報です。Viレッスン1です。いつ実装されたかは知りませんが、この時点で強くin factのような雰囲気を感じられる文章ですね。この時トレーナーから言われたのは、「もっと素直に」という一言です。橘は自分の学んできた演技のすべてを以てレッスンに臨んだ(と思われる)のですが、それでこのようなことを言われたら強いショックを受けてしまうことでしょう。できる限りを尽くしたのにどうして、と。

エピソードはもう少し続いて、大人の言う素直ってなんですか、私にはわかりません……みたいなことを言います。ステから入った僕は、橘は割と素直じゃないひねくれた子だな、と思っていたのですが、ぷち育成を始めて最初のエピがこれだったのでなんというか……、自分の中にある橘像が揺れてしまった瞬間でした。橘は自分なりに素直に生きているつもりなのに、大人からはヒネた子供だと誤解されてしまっているのです。なんとも周りの大人達は残酷な人々ですね。

次。

例えば泣いている私に手を差し伸べてくれたあの日。私はその横をすり抜け(略

ここはin factの歌詞にあるところですね。「伸ばしてくれた手 すり抜けたのは 嫌だからじゃなくて」です。このすぐ後にサビに入り、「真逆の心に気付いて」とつながっていくので、ここは橘は、自分の弱さを見せたくなくて逃げてしまったのではないかと考えます。ここは素直になれなかったポイント(?)なのですが、ここで手を取ったらもう元には戻れない、みたいなことが頭をよぎってしまったのでしょう。相手の優しさを無下にして強がってしまった経験、皆様もありますよね? きっとそういうきもちだったのです。

つぎ。

そんな私を、貴方は目をそらさずに見続けてくれていました。(中略)そんなことばかりしているせいか、いつしか一人でも平気そうだなんて言われるように(略

ここは順序が戻ったりしていますが、前の文が一番Bメロ前の「だけどね あなたは~~目をそらさず 見つめてくれた」、後の文が二番冒頭の「言われる 一人でも平気そうだと」にかかっています。前の文は本文読めば理解できるのでさらっとながしていきます。

後の文ですが、ちょっと後の歌詞にもかかってくるのですが、子供がどうとか以前に人は誰かと関わっていないと生きていけません。仕事も勿論なのですが、ずっと一人でいるとなるとそれだけで大きなストレスとなるのです。話し相手も遊ぶ相手もいないと、人はどんどんだめなものになっていきます。それは橘も例外ではなく、親と接する時間が短いからかなんでも一人でこなしているような印象を受けますがその実、彼女ははひどい甘えん坊です。小さい時……幼少期から親は常に仕事で忙しく、橘にかまってあげる時間を割くことができなかったのでしょう。

これもぷちエピソードで見ることができるのですが、親に名前の由来を聞いたら「かわいいじゃない」で返されたり、タブレットも「一人で寂しくないように」と買い与えられたものだったり、親は橘に愛情を伝えることを放棄しているようにも思えます。勿論、愛情がないわけではないのでしょう。僕が思うに、蛙の子は蛙、といった感じです。親が愛情をうまく伝えられなかった結果、子もそのように育ったというだけの話。ステin factコミュでも分かるように、橘の親は橘のことを深く愛しているのです。そうでなければ、仕事を押してまで娘の事務所で三者面談なんてやりません。

ともかく、橘は親譲りのその性格で、自分の感情をうまく出すことが出来ないのです。人に甘えることが出来ず、心を閉ざしていると勘違いされてしまう。自分では素直でいるつもりでも、傍から見たら真逆のそれにしか見えない。そういう葛藤の中、橘は戦ってきたのでしょう。なんとも辛い話です。

さて、もう少し本文はあるのですが、解説及び考察はここまでにしておきましょう。後は買って読んだり借りたりしてくださいね。

読んだ皆様からは、in factみをとても感じるなどの感想を頂いており、たいへん好評でとても嬉しいです、ありがとうございます!

次の人は稲本海さんで、奥山沙織の台詞に見る東北方言へのステレオタイプです。ガチ勢?のいろいろ期待しています。

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橘、君は気付いていないだけですでにれっきとした大人だよ……。